前回の記事(シンガポールでのワークショップ)に続き、ちょっと前のことですが、、、。
集英社発行の季刊誌(年3回発行)「My Age」の2017秋冬号(11/1発売)に掲載されました。ご依頼いただき、こちらのスタジオで打ち合わせを行ったのが7月〜8月。撮影は9月上旬に行いました。企画の内容は、女優の羽田美智子さんにフェルデンクライスを体験していただく、というものでした。
My Ageというタイトルが示しているように、この雑誌は、年齢が気になる中高年女性(というのはどの年代なのか?と思いますが)を読者層としています。今回掲載されたのは、羽田美智子さんが毎回様々な体験をして自己啓発をして行くという「”自分磨きのための”
大人の手習い」というコーナー。ちょうど羽田さんの年代が読者層であることもあり、読者の興味に沿った内容を作り、そして共感を得やすいということもあるでしょう。羽田さんご自身が体験の内容を毎回決められているそうで、今回はフェルデンクライスをピックアップ(なんて聡明な方なのでしょう!)されました。
撮影!朝8時にスタジオ集合
準備段階のことはさておき、撮影の際に経験したことを少し書きます。
当日は、表参道の撮影用のスタジオに8時集合ということで、私としてはかなり早起きして、緊張しながら車で出かけました。15分前には到着したのですが、ほぼ同時に羽田さんも到着され、こちらを見つけると小走りに近づいて来られ、挨拶されました。さすがに腰が低く、しっかりされているなあと感心しました。羽田さんは49歳ということでしたが、とてもその年齢には見えない、若々しく美しい方でした。女優さんという職業的な事情があるとはいえ、やはり努力していらっしゃるのだと思います。そして、カメラやメークを含め、撮影に関わるスタッフさんも8時前に続々集まってきます。皆さん、朝からシャキッとしていてプロ意識が高く、業界のピリッとした雰囲気を感じ、畏敬の念を覚えました。
メークなどの準備に1時間ほどかけてから撮影開始。ライターと編集者の意見を聞きながら、羽田さんにレッスンを体験していただくわけです。もちろん、雑誌の記事としてわかりやすい内容でなければいけないので、制約はたくさんあるのですが、それなりに自由にさせていただき、羽田さんと話し合いながら、個人レッスンを提供している雰囲気で進めました。スタジオも全面ガラス張りでオープンな明るいスペースで、体の動きによって心が変化することと、知らず知らずのうちに体に溜め込んでいる緊張へのソフトな、語りかけるようなアプローチがいかに大事かを分かっていただけたと思います。
中高年女性の悩みとフェルデンクライス
羽田さんはバリバリの職業人ですし、彼女の体験を中高年女性のものとして一般化することはできないと思いますが、私自身もまさに中高年ですし、もちろん年齢による体調の変化、体力の衰えなどを感じていますし、人生の残りをどう生きていこうかと悩んだりします。この撮影の時の話でも感じたのですが、一般化してみるとすれば、このような年齢になると親のこと、家庭や仕事などについて、こうでなければいけないとプレッシャーを抱えることも多いでしょう。それが体調の変化と絡み合い、人生における未体験分野に入る気がするのです。
以下は、羽田さんとは全く関係ないコメントです。
人生が変化の少ないフラットなものに思えてくるということがあります。それが以前とは違う感覚なので戸惑うのですが、どうすれば日常が面白く新鮮になるのか知りたいと思っても、いろんな意味で自分のキャパシティが小さくなってきているという考えが、前向きに考えることを妨げてしまったりする。ネガティブなループに陥ってしまうのです。個々の状況によるので、非常に大雑把ですが、やはりそのような場面でも、フェルデンクライスが役に立つと思います。
その場で自分にとって最適な行動を探す
フェルデンクライスのレッスンでやっていることは、ただ単に動きを良くすることではありません。与えられた課題についていろんな選択肢を試しながら体の動きを探索することによって、自分にとってその場で最適な動きを見つけていくのです。良い動きをすれば楽だし、できなかったことができるという達成感も得られるのです。それは、人生そのものにも通じるプロセスなのではないでしょうか。
一つ一つの体験に感覚を使って注意をはらい、新しいことに気づくように努力する。そのことによって体の動きも良くなるし、自分の能力が向上していることが分かる。そういった達成感を伴う体験で感じる喜びというのは、非常に根源的で深いものです。好奇心を失わないこと、新しい感覚、新しい考え、新しい行動を掴んで行くことが、これからの人生を幸福と成功へと導いてくれるのだと思います。そしてそれは、中高年でも若い世代でも女性でも男性でも、誰でも全く関係なく同じです。
マイエイジ、まだ販売されていますのでぜひご覧になってください!
(2018年1月記)