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パーキンソン病の方のためのワークショップ:続き(2019年1月)

2019年1月25日

昨年このブログでも紹介したのですが、府中市でのパーキンソン病の方のためのフェルデンクライス・ワークショップは、昨年中に合計3回継続的に開催させていただきました。参加メンバーは、のぞみ会の会員の方々を中心にして少しずつ毎回初めての参加者が来てくださり、期待の大きさ、そして、なかなかの活気が感じられます。

前回の記事にも書いたように、個人レッスンをさせていただければ、自分で努力しないことで不必要な筋緊張の増加を防ぐことが比較的に容易なのではないかと思われるのですが、受ける側からすると、このようなワークショップで他の皆さんと一緒に体操感覚で行う方が気楽だというのは良くわかることです。そんなことを毎回思いつつ、継続参加者の皆さんの様子を思い浮かべながら、毎回ワークショップの準備をさせていただいています。

フェルデンクライスを学ぶ際に言われることの一つに「アンビシャスにならない(野心を捨てる)」というのがありますが、これは面白い表現だと思います。動きや感覚を使って脳を刺激して、そのことで自分の行動を変えようと思うフェルデンクライスの考え自体はかなり「野心的」でもあります。しかしながら、動きそのものをより効率の良い、置かれた状況における最適なものにするためには、イメージ通りに動こうと頑張り、結果として筋肉の緊張を増大させてしまうことは大きな妨げになるのです。頑張っちゃいけない、楽な動き方を見つける、などというフェルデンクライスのレッスン中に呪文のように言われる言葉は真実です。

さて、今年初回の4回目となるワークショップが1月17日に開催されました。のぞみ会の月例会としても年初であったことから、「今年もよろしくお願いします!」という挨拶で始まりました。いつも、ワークショップのはじめは皆さんに「何をやりたいか、できるようになりたいか」という質問を投げかけて、願望をどんどん話していただいているのですが、今回は、「今年は何をやりたいですか?」という質問にしました。すると、次から次へと大変活発なコメントが返ってきたのです。

大きな声で歌いたい!
腰痛を克服して少しでも長く歩きたい!
人に頼らず、自分のことは自分でしたい!
きれいに字を書きたい!
食事の時(奥様より)速く食べたい!
睡眠を上手にとりたい!
思い切り笑いたい!
一人で旅行がしたい!

病気という状況と結びつけて、そう思うのだなぁ〜と理解できるコメントの数々ではあるのですが、一方でどれもみな、時間をゆっくりとって、野心を捨てれば、少しずつ良くしていくことが可能なことのようにも思えます。いずれにせよ、皆さんが心からの願望をはっきり口にするところに、グループとしてのポテンシャルを感じました。毎回そうなのですが、話し合っているうちに会場の雰囲気がとても楽しいものになってきます。

そして、動きを使ったワークショップそのものですが、この日も椅子を利用してのエクササイズを実践しました。片方ずつお尻を持ち上げたり、上を見たり下を見たり、体を回したり、毎回椅子の上で同じ動きのパターンを学習していただいていますが、今回はちょっとレクチャーを加えて、骨盤と背骨の動きを説明しました。だいぶフェルデンクライス・ワークショップらしくなってきたかも(笑)。最後に試したのが、ローラーの上に座って動くレッスン。ローラーの助けを借りて骨盤の動きを引き出そうという「野心的!」なアイディアですが、内容を改善して次回またやりましょう!

2019年1月25日記 かさみ康子